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脳科学者  澤口俊之氏による脳科 学情報

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日照時間の短い冬はセロトニン減少 うつ病のような症状にも

NEWS ポストセブン  12月9日(金)7時6分配信

なんとなくどんよりした気分になることも多い冬。単純に気候のせいとも思われるが、実は科学的にその理由が説明できるのだという。『ホンマでっか!?TV』でもお馴染みの脳科学者・澤口俊之氏が、冬の「絶望感」について解説する。

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冬の気配が濃厚になり、寒さが一段と厳しくなってきました。秋から冬にかけて、気分が落ち込み、何となくどんよりとしてくることがあります。やる気が出ない、体がだるい、絶望的な気分になる…といった経験は、誰しもあるのではないでしょうか? これは、季節によって脳内のセロトニン量が変動するからです。

日本のように四季がはっきりしている地域では、日照時間が短くなる冬に、セロトニントランスポーターの働きが強くなります。セロトニントランスポーターとは、セロトニンを「回収(トランスポート)」するための高分子構造です。

この働きが強いと、セロトニンが通常より多く“回収”されるため、脳内のセロトニン量が減ってしまうという仕組みになっています。脳内のセロトニン量が減ると、気分の落ち込みがひどくなり、うつ病のような症状になってしまうのです。

ちなみに、うつ病の主な治療薬(SSRI)には、セロトニントランスポーターの働きを弱めて、セロトニンの回収を「抑制」し、脳内のセロトニン量を増やす作用があります。セロトニン量の減少を抑えることで、うつ状態に陥ることを防ぐのですね。

また、ドーパミンなどの脳内ホルモンや性ホルモンなども季節の影響を受けます。つまり、日本のように季節のある地域に住む人間は、季節によって体も脳も変化するということです。

※女性セブン2011年12月22日号

参照記事

理研、グリア細胞の1種「アストロサイト」が記憶に影響することを発見

マイナビニュース  12月9日(金)8時10分配信

理化学研究所(理研)は12月7日、神経細胞とともに脳を構成している「グリア細胞」の一種である「アストロサイト」が、神経細胞間の接点であるシナプスでの情報伝達効率を調節し、記憶や学習に影響を及ぼす「シナプス可塑性」に関与することを発見したと発表した。発見は、理研脳科学総合研究センター神経グリア回路研究チームの平瀬肇チームリーダー、同発生神経生物研究チームの御子柴克彦チームリーダーらの研究グループによるもので、成果は米科学雑誌「Journal of Neuroscience」12月7日号に掲載された。

アストロサイトは、脳構造の維持とともに、脳内の代謝や神経細胞外環境を維持する支持細胞とこれまでは考えられてた。しかし、近年になって神経細胞と同様に神経伝達物質を受け取ったり、さまざまな伝達物質を放出したりすることが判明してきたため、シナプス可塑性にも関与する可能性が指摘されるようになってきている。

2010年には、厚さ0.3~0.4mmほどにスライスした脳切片を用いた実験で、シナプス可塑性がアストロサイトの細胞内カルシウムの応答に依存するとの報告もあった。しかし、その1カ月半後には、同じく脳切片を用いた実験で、シナプス可塑性とアストロサイトの細胞内カルシウムの応答は無関係であるという報告もなされ、これら相反する結果の理由は未解明のままだ。

脳切片は、酸素や栄養素を含んだ人工脳脊髄液に浸しておくことで、脳細胞の活動を数時間以上維持できる仕組みではあるが、本来の神経活動が消失しているだけでなく、神経繊維切断による炎症反応でアストロサイトの生理的性質が変化している可能性が考えられる。そのため、生きたままの動物の脳を用いたアストロサイトとシナプス可塑性の関係解明が望まれていたというわけだ。

目の奥(前脳基底部)に存在する神経核「マイネルト基底核」は、神経情報伝達物質の一種であるアセチルコリンを含む神経細胞が散在しており、記憶の形成に重要な役割を果たしていると考えられている。ちなみに、アルツハイマー病の患者では顕著な変性や脱落を示す。そこで研究グループは、マイネルト基底核の活性化と、記憶の形成に重要な大脳皮質でのシナプス可塑性との関係に、アストロサイトが関わると予想し、その検証に挑んだという次第だ。

まず研究グループは、生きたままのマウスの大脳皮質に、シナプス可塑性を誘導する手法の確立に成功した。具体的には、ラットやネコでの報告を参考に、麻酔したマウスのヒゲには圧縮空気を、マイネルト基底核には電気刺激を、5分間に100回の「同時刺激」を実施。その結果、同時刺激後には、脳波の応答の大きさが平均24%増大し、大脳皮質でのシナプス可塑性の誘導に成功した(画像1)。

次に、同時刺激でシナプス可塑性を誘導している最中に、アストロサイトが活動しているかどうかを検証。麻酔したマウスの大脳皮質にあるアストロサイトのカルシウム応答を、生体試料の深部観察に適した「2光子顕微鏡」で観察しながらの同時刺激が行われた。すると、観察視野に存在するアストロサイトの半数以上で、細胞内カルシウムの濃度が上昇することが確認されたのである。

続いて、このカルシウム濃度の上昇がシナプス可塑性に関与しているのか、または単なる副産物であるのかを検証するため、アストロサイトのカルシウム応答を消失させた遺伝子改変マウス(IP3R2-KOマウス)への同時刺激が行われた。

すると、マイネルト基底核を刺激した時の脳波の応答は正常だが、シナプス可塑性が生じないことが判明。これらの結果から、アストロサイト内のカルシウム濃度の上昇がシナプス可塑性に重要な働きをしていることがわかったのである。

さらに、このカルシウム濃度上昇によるシナプス可塑性誘導の分子機構を解明するため、半透膜のついた微小管を麻酔したマウスの大脳皮質へ挿入して、細胞外のアミノ酸の量を計測(微小透析法)。

その結果、マイネルト基底核の電気刺激によって、アミノ酸の1種である「D-セリン」の量が5%上昇した。一方、IP3R2-KOマウスではD-セリンの量が増加しないことが確認された。D-セリンは、記憶形成に必須とされているグルタミン酸受容体の1種である「NMDA受容体」へ結合し、シナプス可塑性を誘導することが知られている。

このことから、アストロサイト内のカルシウム濃度の上昇に伴って、細胞外D-セリン濃度が上昇するというメカニズムが、シナプス可塑性誘導の分子機構であると示唆さた次第だ。つまり、マイネルト基底核がアストロサイトを活性化することで、大脳皮質のシナプス可塑性を誘導するという流れが判明したのである(画像2)。

研究グループは、今回の発見により、脳の記憶や学習形成についてアストロサイトを含めたメカニズムの理解が深まることが期待できると同時に、アルツハイマー病などにおけるアストロサイトのカルシウム応答を標的としたまったく新しい治療方法の開拓にもつながることもと期待できるとしている。

(デイビー日高)

[マイナビニュース]

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