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脳科学者  澤口俊之氏による脳科 学情報

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バレンタインデー:ルーツと愛の科学

ナショナルジオグラフィック 公式日本語サイト 2月14日(火)12時7分配信

今年もやってきたバレンタインデーだが、その起源はどこにあるのだろうか。また、毎年多くの人がこのイベントに夢中になるのはなぜだろう。バレンタインデーの由来や愛の脳科学について探ってみよう。

◆バレンタインデーの歴史:ルーツはローマ時代

 バレンタインデーはハロウィーン以上に盛り上がる“ホールマーク・ホリデー”(商業的に重要な祝日)だが、もともとはキリスト教とは無関係の祝祭に起源がある。

 コロラド大学ボルダー校の古典学者ノエル・レンスキ氏によると、ローマ帝国では毎年、男性が裸になり、多産を祈願して、ヤギや犬の皮でできたムチで未婚女性をたたくという騒々しい祭りが開かれていた。「ルペルカリア祭」というこの祭りは毎年2月15日に開催され、ローマ皇帝コンスタンティヌス1世が西暦313年にキリスト教を公認してからも150年ほど続き、5世紀まで広く行われていた。

「キリスト教徒がやめさせようとしても続いていたから、とても人気のある祭りだったに違いない。あきらめて開催を許可していたとも考えられるから、キリスト教の祝日だと言ってもかまわないだろう」とレンスキ氏は言う。

 キリスト教会はこの祭りを聖ウァレンティヌス(バレンタイン)の伝説と結び付けた。伝説によれば、3世紀のローマ皇帝クラウディウス2世は軍隊の士気を高めるために若い兵士の結婚を禁止したが、ウァレンティヌスは政令に背いて兵士たちを秘密で結婚させたため、西暦270年2月14日に処刑されたという。伝説の真偽は定かではないが、「ルペルカリア祭に関する、キリスト教徒にとっては都合のよい説明になっている」とレンスキ氏は話す。

◆バレンタインデー・カード

 アメリカで最も一般的なバレンタインデーの買い物と言えば、グリーティングカードが挙げられる。調査によると、アメリカの消費者の52%が今年1枚以上のカードを送る予定だ。

 業界団体のグリーティングカード協会の推計では、1億9000万枚のバレンタインデー・カードが毎年発送されるという。ちなみにこの数字には、学校で子どもたちが交換する数億枚ものカードは含まれていない。

 協会の広報担当者バーバラ・ミラー氏は、「アメリカでは恋人などにバレンタインデー・カードを贈ることが文化的伝統として定着していて、変わる気配はない」と話す。ミラー氏によると、最初のバレンタインデー・カードは、1415年にフランスのオルレアン公がアジャンクールの戦いで敗れてロンドン塔に幽閉されているときに妻に送ったものだという。

 手書きのバレンタインデー・カードがアメリカで一般的になったのは、アメリカ独立戦争のときだった。20世紀に入るとカードの大量生産が始まり、1913年には大手グリーティングカード会社のホールマーク社が参入した。それ以来、バレンタインデー・カードは恋人同士だけでなく、両親や子ども、きょうだい、友人同士などで盛んに贈られるようになっている。

◆愛とは何か? 恋愛の脳科学

 バレンタインデーは愛の祝日だが、そもそも愛とは何だろうか。

 ヘレン・フィッシャー氏はニュージャージー州にあるラトガース大学の人類学者で、『人はなぜ恋に落ちるのか? -- 恋と愛情と性欲の脳科学』(大野晶子訳、ソニーマガジンズ)など、愛に関する本を数冊出版している。

 フィッシャー氏は恋愛について、求愛と生殖を可能にする3つの本能的な脳のシステムに分類している。

・性欲 ・ロマンチックな愛(妄想、情熱、夢中) ・愛着(長期間のパートナーに対する穏やかさと安心感)

 これらは脳の状態ではなく脳のシステムであるとフィッシャー氏は強調している。3つのシステムのすべてが恋愛において重要な役割を果たしていて、それぞれ独立して機能することもできるが、人々は1つの理想的な関係の中で3つのシステムがすべてそろうことを強く望んでいるという。

「私の考えでは、性欲が進化したのは外へ出てパートナーを見つけられるようにするため。ロマンチックな愛が進化したのは、一度に1人の相手にだけ求愛のエネルギーを注げるようにするため。愛着が進化したのは、チームとして一緒に子どもを育てるのに十分な期間だけ相手を容認できるようにするため」とフィッシャー氏は言う。

「バレンタインデーには3つのうち性欲とロマンチックな愛の2つだけが含まれていた」とフィッシャー氏は付け加える。「でも、ペットの犬にもバレンタインデー・プレゼントを贈るようになれば、ロマンチックな愛だけでなく純粋な愛着の表現だと言うこともできるでしょうね」。

John Roach for National Geographic News

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