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北大、海馬神経伝達を光で制御する新手法で記憶形成の時間経過を解明

マイナビニュース 5月11日(金)7時10分配信

北海道大学(北大)は5月9日、光反応性グルタミン酸受容体ブロッカー「ANQX」と光照射を用いて、任意のタイミングで細胞膜上の脳の興奮性神経伝達を担う「AMPA型グルタミン酸受容体(AMPA受容体)」を阻害し、AMPA受容体がシナプスへ補給される時間経過を解析したところ、AMPA受容体は強い神経活動の直後にシナプスに輸送され、記憶痕跡の形成を担うことが明らかになったと発表した。

成果は、北大大学院医学研究科の神谷温之教授らの研究グループによるもの。研究の詳細な内容は、日本時間5月9日付けで「Journal of Neuroscience」に掲載された。

近年の研究において、脳の興奮性神経伝達を担うAMPA受容体の局在は、極めて動的に変化することが示されてきた。中でも、記憶や学習の細胞モデルとされる海馬の長期増強現象では、強い神経活動によってシナプスにAMPA受容体が輸送されることが明らかになったのである。

そしてAMPA受容体が、「いつ」「どこで」「どのように」シナプスに運ばれるかを明らかにすることは、記憶のメカニズムの解明につながるとの期待から多くの研究が行われるようになってきた。

しかし、これまでは蛍光タンパクなどの巨大分子で標識したAMPA受容体の動きを計測することは可能だったが、生体内でのAMPA受容体そのものの動きを測定する方法がなかったのである。

そこで今回の研究では、AMPA受容体を阻害するANQXをマウス海馬のシナプスに投与し、光照射と組み合わせることで、任意のタイミングでAMPA受容体をスイッチ・オフする手法「シナプス光不活化法」が新たに開発された形だ。

ANQX投与と光照射のタイミングを変化させる一連の実験から、AMPA受容体は強い神経活動の直後にシナプスに輸送され、海馬の神経伝達を強化することで記憶痕跡を形成することが明らかになった。強い神経活動が生じない場合は、AMPA受容体は海馬のシナプスに安定に留まることも判明したのである。

光照射の利点の1つは、照射範囲を限局することで、局所的に興奮性神経伝達を阻害できることだ。複雑な脳の神経ネットワーク機能を解析することは、脳機能のボトムアップ的な理解に必須と考えられるが、これまでの研究手法では特定の神経回路のみを阻害することは困難だった。今回用いた手法はこれを可能にすることから、有用な研究手法となることが期待されると研究グループはコメントしている。

(デイビー日高)

[マイナビニュース]

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