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脳科学者  澤口俊之氏による脳科 学情報

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アルツハイマーには運動療法が効果的

ナショナルジオグラフィック 公式日本語サイト 5月16日(水)18時24分配信

アルツハイマー病による記憶障害の改善には、食事療法よりも運動療法の方がより効果のあることが、京都大学医学部の木下彩栄(あやえ)教授や前迫真人氏(博士課程2年)らの研究で分かった。 アルツハイマー病は、脳内に「アミロイド」というタンパク質が蓄積し、神経細胞に障害を起こすことで記憶機能が悪化すると考えられている。近年では、糖尿病や高脂血症などの生活習慣病との関連が疫学的に注目され、マウスに高脂肪食を与えると記憶力が低下し、アミロイドが多く蓄積するとの研究も報告されている。

 研究チームは、アルツハイマー病にしたモデルマウスを次の4群に分けた。

(1)高脂肪食のえさを20週間食べさせた
(2)途中の11週目から「回し車」で自発的に運動をさせた
(3)11週目から運動をさせずに、普通食のえさに切り換えた
(4)11週目から自発的運動と普通食のえさを与えた

 マウスの記憶力の変化をみるため、あらかじめ覚えさせていた水上迷路のゴールに泳ぎ着く時間を測定した(Morris水迷路試験)。その結果、(1)の高脂肪食だけを食べていたマウスは約35秒かかったが、(2)の高脂肪食ながらも運動したマウスは約16秒だった。(3)の普通食に切り換えたマウスは約25秒、(4)の運動と普通食を組み合わせたマウスは約17秒だった。

 さらに脳内のアミロイドの蓄積量についても、運動した高脂肪食マウスでは、運動しなかった高脂肪食マウスの半分程度に減少し、運動と普通食を組み合わせたマウスと同じ程度だったという。

 これらにより、運動療法の方が食事療法よりも効果的で、高脂肪食のままでも運動をすれば、普通食に切り換えた場合と同様な効果のあることが分かった。

 アルツハイマー病については、生活習慣病や教育などの患者指導で、世界全体で50%ほど患者数を減らせるとの試算もある。今回の研究成果は、運動と食事でどちらを優先して指導すべきか明らかにしたもので、米国の科学誌「The Journal of Biological Chemistry」オンライン版(4日付)に掲載された。

※この記事はサイエンスポータルで配信された記事の転載です。

National Geographic News

参照記事

     → http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20120516-00000002-natiogeo-int



    東京医科歯科大、NMDA型酸受容体の過剰活性化が脳の形成障害を招くと発表

    マイナビニュース 5月16日(水)8時10分配信

    東京医科歯科大学は5月14日、マウスモデルによる実験で、神経伝達物質「グルタミン酸」が作用する「グルタミン酸受容体」の1種である「NMDA型受容体」の過剰活性化が、大脳新皮質や海馬、扁桃体などの脳部位の形成障害の原因であることを新たに発見したと発表した。

    成果は、東京医科歯科大 難治疾患研究所 分子神経科学分野の田中光一教授、相田知海助教らの研究グループによるもの。研究の詳細な内容は、米国東部時間5月11日付けで米科学雑誌「PLoSONE」オンライン版に掲載された。

    近年、自閉症や統合失調症などの脳神経系の疾患について、発生・発達段階での脳の微細な異常の関与が報告されるようになってきた。脳の発生・発達段階での形成異常を起こす原因としては、遺伝的要因や出産前及び出産時の傷害、ウイルス感染などの環境要因が挙げられている。ただし、遺伝的要因に比べ、胎児期の環境要因がどのようなメカニズムで脳の形成異常を起こすのかは不明だった。

    グルタミン酸は脳にとって必要な神経伝達物質だが、過剰に存在すると脳に障害をもたらしてしまう。そして出産前や出産時における重篤な傷害の場合、胎児の脳が虚血状態になり、脳内に過剰なグルタミン酸が放出されてしまうのだ。

    研究グループはこれまで、グルタミン酸を回収する輸送体を欠損させたマウスを作成し、脳内のグルタミン酸が過剰になる状態を再現させて研究を行ってきた。そのようなマウスでは、大脳新皮質、海馬、扁桃体などの脳の各部位で形成に障害が起きることを研究グループは発表している。

    なお大脳新皮質とは、ほ乳類、中でもヒトでは非常に発達している、大脳皮質の内の表面にある神経細胞の層で進化的に最も新しい部分のことをいう。海馬は、大脳側頭葉の内下部にあり、記憶に関与すると考えられている。そして扁桃体は、側頭葉内側の奥に存在し、情動反応と記憶に関わる部位だ。

    今回は、脳内の過剰なグルタミン酸がどのようなメカニズムで脳の形成障害を起こすのかを、グルタミン酸受容体に着目して研究が行われた。脳内のグルタミン酸が過剰になる状態を再現させたマウスから、グルタミン酸受容体の1つであるNMDA型受容体を欠損させると、大脳皮質、海馬、扁桃体の形成異常が正常に回復することが発見された。

    なお、NMDAとは、N-メチル-D-アスパラギン酸のことで、グルタミン酸受容体の中でも、NMDAが選択的に作用することからそう分類されている。

    出産前及び出産時の障害などの胎児・周産期の環境要因は、自閉症や統合失調症の発症を高める可能性が、これまで報告されてきた。また周産期の障害により、胎児・新生児の脳内に過剰なグルタミン酸が放出されることも知られている。

    今回の研究は、脳内に放出された多量のグルタミン酸がNMDA型受容体を過剰に活性化させ、自閉症や統合失調症で異常が示唆されている大脳新皮質、海馬、扁桃体に形成障害を起こすことが示された形だ。

    この結果は、周産期の環境要因による脳の形成障害の病態を解明する大きな手がかりとなるものと研究グループはコメント。さらにこの結果から、脳形成障害の新規治療薬の標的としてNMDA受容体が有用であることが示唆されたとしている。

    (デイビー日高)

    [マイナビニュース]

    参照記事

       → http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120516-00000006-mycomj-sci



      京大、アルツハイマー病の認知機能改善に運動が効果があるメカニズムを解明

      マイナビニュース 5月16日(水)7時10分配信

      京都大学は、アルツハイマー病の介入研究について、これまで疫学的に良いとされていた運動療法がアルツハイマー病の認知機能に効果をもたらすメカニズムの一端を解明し、運動と食事という介入を比較して、どちらの介入を優先すべきかということを明らかにしたと発表した。

      成果は、京大医学研究科 人間健康科学系専攻の木下彩栄教授の研究グループによるもの。研究の詳細な内容は、「The Journal of Biological Chemistry」に掲載された。

      高齢化が急速に進む日本では、認知症患者が激増している。現在、200万人以上が認知症に罹患しているとされているが、中でもアルツハイマー病は進行を止める治療薬もなく、介護負担の重さから大きな社会問題となっている状況だ。

      最近、アルツハイマー病の危険因子として、糖尿病や高脂血症などの生活習慣病との関連が疫学的に注目されるようになってきた。2011年の国際アルツハイマー病学会でも、生活習慣病や教育といった介入可能な項目に介入することで、全世界で50%程度患者数を減らすことができるのではないかという試算もされている。

      そこで、研究グループはアルツハイマー病のモデルマウス「APPマウス」を使い、「どのような介入が効果があるか」ということを調査した次第だ。

      画像1に示されているように、まずAPPマウスに高脂肪食を食べさせる(赤:APP-HFD)。すると、認知機能が悪化し、アルツハイマー病の目印の物質であるアミロイドがたくさん脳内に蓄積することがこれまでの研究で報告されており、アルツハイマー病と糖尿病や高脂血症との関連が示唆されたというわけだ。

      そこで、APPマウスに高脂肪食を食べさせたまま、自発的な運動をさせた(青:APP-HFD+Ex)。あるいは、運動をさせないでこのマウスの食事を普通の食事に換えてみる(緑:APP-HFD+Dc)。また、自発的な運動と食事療法の組み合わせも設定(紫:APP-HFD+Ex+Dc)。

      画像2と3に示すように、これらのマウスに「モリス水迷路試験」という行動実験を行い、認知機能(記憶)を測定すると、高脂肪食で悪化した認知機能(赤:APP-HFD)が自発的な運動(青:Ex)によって顕著に改善を示し、その程度は食事療法(緑:Dc)よりも大きく、運動のみでも運動+食事療法(紫:Ex+Dc)の組み合わせと同等の効果が得られることがわかった。

      画像2では、プラットホームに到達するまでの時間がEx、Ex+Dcでは早くなり、画像3においてはEx、Ex+Dcの条件で、目的地に到達する回数が増加していることを示している。

      この結果より、高脂肪食を与えて認知機能の悪化したアルツハイマー病モデルマウスでは、認知機能の改善という点から運動療法の方が食事療法より「より効果的」であることがわかった。また、食事は高脂肪食のままでも運動すれば(通常の食事に戻したマウスと同等の)効果が出ることも確認された次第だ。

      なお、運動や食事療法により脳内のアミロイド蓄積が減少しているが、その理由については、酵素「ネプリライシン」の誘導によるものではないかと木下教授らは考察している。今回の研究では、運動による効果を、記憶を検査する行動実験の結果のみならず、脳内のアミロイド蓄積の点からも検証している点も特徴的といえるだろう。

      また今回の研究について木下教授らは、社会的に、これまで疫学的によいとされていた運動療法がアルツハイマー病の認知機能に効果をもたらすメカニズムの一端を解明したという点と、運動と食事という介入を比較して、どちらの介入を優先すべきかということを明らかにしたという点に意義があるとしている。

      これらは今まで十分に解明されていなかった点だが、実地臨床に即、応用できる点から、広く社会に発信すべき研究成果ともコメントした。

      (デイビー日高)

      [マイナビニュース]

      参照記事

         → http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120516-00000002-mycomj-sci



        脳の成長は25才頃で終了 夢を持てないニート現れる原因説も

        NEWS ポストセブン 5月16日(水)7時5分配信

        人間が他の動物と決定的に違う点は、将来について考えることができるかどうかだという。それはつまり「夢」を持つか否かということ。フジテレビ系バラエティー番組『ホンマでっか!?TV』でもお馴染みの脳科学者・澤口俊之氏が、そんな人間の「夢」について。脳科学的に解説する。

         * * *

         私たち人間にとっても生殖は大切な行為です。したがって大きな夢のひとつとして「結婚」を意識します。しかしそれは他の動物のように、生殖だけを目的としたものではありません。人間の結婚には、「継続的な家族」を形成し、「家族によって子育てをする」という目的があるのです。

         人間にとっての夢の基盤は、この「家族形成」にあるといえます。

         子供が夢に見る「職業」とは、本来、家族を維持するためのリソース(お金)を得る手段にすぎません。しかし子供たちがそれぞれに「職業」を夢見ることは、「家族を形成する」という本質的な夢につながるものとして、とても大切なことなのです。

         成長期の真ん中にある小学生やそれに続く思春期の若者が夢を持つこと。そして、それに向かって努力をすることは、大人になるうえでとても大事なことです。

         この時期に家庭不和や虐待などによって、「夢を持ち努力する環境」を正しく与えられないと、「家族を形成する」という人間にとって本質的な夢を持てなくなってしまうことがあります。人間の脳の成長は25才ごろで終わってしまいますから、いわゆる「ニート」に典型的なように、この年頃になって夢を持たない、持てない人が現れてしまうのです。

         しかし脳科学的には本来、未来記憶(将来の目的や計画、状態などに関する記憶)の能力は、脳の成長が止まって以後も衰えません。ですから“もう、これでいいんだ”と現状に満足してしまうのではなく、「成長したい」という意欲を持ちさえすれば、中年以降も、場合によっては70~90才になってからでさえ夢を持つことはできるのです。

         では、夢をかなえる方法を少しだけ紹介しましょう。夢がかなったときの喜びを強くイメージしてください。これは、やる気につながり、努力に結びつます。

         自分の夢を何かに書き留めておくとさらによいでしょう。夢を失いかけたり、忘れた時に役立ちます。また、中高齢で夢を持つと平均余命が7年も長くなることがわかっていますから、ぜひ、夢を持つようにしましょう。

        ※女性セブン2012年5月24日号

        参照記事

           → http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20120516-00000009-pseven-soci



          「幻肢痛」仕組み一部解明=切断後、早期に神経変化―治療法確立に道・女子医大など

          時事通信 5月16日(水)6時6分配信

          事故などで手足を切断した患者が、既にない手足の痛みを訴える「幻肢痛」と呼ばれる症状は、体の部位に対応した脳の神経回路(脳地図)に変化が生じるのが原因と言われている。東京女子医大と北海道大などの研究チームはマウスを使い、切断から早い時期に神経回路の組み替えが起きていることを、直接確認するのに成功した。

           幻肢痛は基礎的なデータが少なく、リハビリで対応しているのが現状で、研究成果は有効な治療法の確立につながると期待される。論文は16日付の米科学誌ジャーナル・オブ・ニューロサイエンスに掲載された。

           日本では年間5000人前後が事故や病気などで手や足を失うが、うち50~85%が幻肢痛を発症するという。鎮痛剤は効かず、治療はリハビリが中心だが、症状の度合いを客観的に示す指標もなく、有効な治療法は確立されていない。 

          参照記事

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