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脳科学者  澤口俊之氏による脳科 学情報

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「捨てる」は捨てないものを決めた瞬間に、脳が自動で選別する


誠 Biz.ID 9月24日(火)11時23分配信


●連載『アタマの片付け』とは

 頭がモヤモヤしている人。迷ってなかなか判断できない人。問題をどう解決したらいいのか途方にくれている人。モノの片付けとは異なり、頭の片付け方は一朝一夕にはいきません。見えないし、イメージが湧きづらいのです。

 しかし頭がキレイに整理され、無駄なく、目的に応じて働くようになれば、モノの片付け以上に大きな成果を生み出します。さあ、始めませんか? 頭の片付けを!

●海馬にまかせよ

 前回、頭の片付けのとっかかりとして「不要なものを捨てよ」「自分のテーマやキーワードをしっかり意識して情報収集せよ」という話をしました。頭の中から不要なものを物理的に捨てることはできませんが、重要なものを強く意識することで自然と情報は選別されていきます。今回は、そのメカニズムを具体的に説明したいと思います。

 まず、情報収集したものを取捨選択するのは誰でしょうか? それはあなたの脳みその「海馬」といわれる部分です。ここは、いわば情報の門番ともいえる存在でして、有象無象にくる情報の中から、本当に重要なものを選別して残すようにしています。

人間の脳は京の町家のようなものです。間口が狭く、奥に深い。だからいったん入ってしまえば結構なスペースがあるのですが、間口が狭いので、一度に入れられるものは限られているわけです。

 「だったら、何も考えずにガンガン情報収集すればいいじゃん! 海馬が勝手に選別してくれんでしょ?」と考える人もいるかもしれません。

 しかし、海馬が考える重要な情報とは、分かりやすく言えば生死にかかわるような情報です。大怪我した経験があると次からはその原因となるようなことを避けるようになります。大怪我したときの記憶はいくつになっても忘れられない鮮明な記憶となって刻まれます。海馬はそのように、情報を選別しています。

 当然ながら、試験勉強の中身や仕事の情報収集は、あなたの生死とはなんら関係はありません。知らなくても命に別条はありません。よってこうした情報はほおっておくとまったく頭に入らないのです。海馬の考える優先順位としては高くないのです。「エビングハウスの忘却曲線」というのを見たことがある人も多いと思いますが、断片的な記憶はすさまじい勢いで消えていきます。4時間で覚えたものの半分は消えてしまう。思いのほか、海馬の管理する情報の登竜門は狭いのです。

 私がキーワードやテーマを強く、強く意識せよ、というのはこのことです。

海馬に伝えるのです。「この手の情報は僕の人生に大きくかかわることだから、特別扱いしてね」と。こうした自分の脳への呼びかけを事あるごとに繰り返す。海馬は考えます。

 「何度も言うのであれば、よほど重要な情報なのだろう。よし、この手の情報は今度から優先的に入れていこう!」

●テーマやキーワードの再点検

 さて、それではキーワードやテーマはどのように設定すればいいでしょうか? 基本はあなたの人生の目標、いいや、価値観にかかわるものです。

 あなたには長期の目標、中期の目標、短期の目標があると思います。1年以内の短期の目標は明確でしょう。目の前のプロジェクトを成功させる、業績目標を達成する、試験に合格する……いろいろあるでしょう。

 3~5年という中期のスパンではどうでしょう? 開業資金を貯めて起業する、結婚する、留学する、目標としている仕事に就く、本を執筆する……など。時間のかかるものが多いくなるでしょう。それでは、長期はどうでしょう? 10年以上もの先の目標。あなたは明確でしょうか?

 多くの人は夢や長期の目標というのが明確ではありません。私はそれはそれでまったく問題ないと思います。これだけ変化の激しい時代に10年後の明確な姿をイメージできる人は少ないはずです。それよりも、重要なのは「価値観」です。

 私たちの人生はつまるところ、自分の考える価値ある世界を実現していくプロセスであると思います。自分の価値観とは、例えば「世の中に何かしら爪あとを残したい」「自分が苦労したことを後世に伝えて役に立たせてほしい」といったようなことです。

 公共の利や高尚なことでなくても構いません。「自分にかかわるすべての人に幸せになってもらいたい」「家族を幸せにしたい」そういうプライベートな価値観でOKです。ポイントは自分が大事に考える柱をはっきりさせることです。

 ポイントはこうした自分の持つ普遍的な価値観と中期、短期の目標はリンクしているのかどうかをチェックすることです。リンクしているかどうかを定期的に再点検し、リンクしていないようであれば、短期の目標や眼の前のやるべきタスクを見直す必要があるかもしれません。それらはあなたの価値観とは別の軸ですから。

 私の場合、そうしたキーワードをつなげていって、価値観、中期目標、短期目標がつながっており、短期は中期のため、中期は長期や普遍的な価値観のためのマイルストーンになっているかどうかを確認するようにしています。こうした再点検を、1月に一度など定期的に行うようにしています。それはタスク管理とは別のものです。

 定期的に自分の価値観や短中期の目標を確認しましょう。ゴミ捨ても捨てる日が決まっているから、不要なものを集めることに意識が向くわけです。頭のゴミ捨ても、自分で捨てる機会を作ることが大事です。そして、自分の求めるべき目の前のテーマは何か、キーワードは何かを強く、強く意識することにしましょう。

●What、HowではなくWhyを大事にする

 価値観を重視して物事を判断するということは別の言い方をすれば「Why?」をベースに考えるということでもあります。

 「Why?」はどうしてこれをやる必要があるのか。その背景となる信念や絶対的価値のことです。例えば企業でいえば、「What?」は製品やサービスのこと、「How?」はどのように提供するかということですから、その組織体制やノウハウ。一方で「Why?」は企業理念やミッションに当たるものです。

 普段の仕事で企業理念やミッションを意識することはないかもしれません。しかし判断に迷うとき、何をすべきか暗中模索のときに、軸となるのは企業理念やミッションです。もし、あなたの目の前で企業利益と公共の利益が相反するようなシチュエーションになったとします。もし、企業理念が公共の利益を優先するようなものであれば、企業利益を捨ててでも理念に従う必要があります。理念とは国の憲法と同じくらい根本となる行動規範です。

 情報に接するとき、それが自分の血や肉となりえるかを吟味しましょう。そのときに重要なのは、自分の価値観であり、人生のテーマ、そこから派生する中短期のテーマやキーワードです。

 頭の中にそれらのつながりをしっかり意識していれば、雑多な情報の中から宝の在処を発見するのも容易になりますし、何度も反復学習なんてしなくても、海馬がしっかり頭の中に刻み込んでくれるでしょう。

●著者紹介:永田豊志(ながた・とよし)

 知的生産研究家、新規事業プロデューサー。ショーケース・ティービー取締役COO。

 リクルートで新規事業開発を担当し、グループ会社のメディアファクトリーでは漫画やアニメ関連のコンテンツビジネスを立ち上げる。2005年より企業のeマーケティング改善事業に特化した新会社、ショーケース・ティービーを共同設立。現在は、取締役最高執行責任者として新しいWebサービスの開発や経営に携わっている。

 ビジネスマンの「知的生産性の向上」をテーマに精力的に執筆・講演活動も行っている。近著に『知的生産力が劇的に高まる最強フレームワーク100』『革新的なアイデアがザクザク生まれる発想フレームワーク55』(いずれもソフトバンククリエイティブ刊)、『頭がよくなる「図解思考」の技術』『プレゼンがうまい人の「図解思考」の技術』『ノート・手帳・メモが変わる絵文字の技術』(中経出版刊)、『すべての勉強は、「図」でうまくいく』(三笠書房刊)がある。

連絡先: nagata@showcase-tv.com

Webサイト: www.showcase-tv.com

Twitterアカウント:@nagatameister

参照記事 → http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130924-00000064-mycomj-sci



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