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脳科学者 澤口俊之氏による脳科学情報

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人は「自分の顔」を見ると幸せになる…脳科学研究でわかった「意外な理由」


1/24(水) 10:03配信


「メラビアンの法則」をご存知だろうか。これは、コミュニケーションの実に55%は表情などの視覚情報から得ているというもの。では、どんな表情がいい印象を与えるのか。最新科学から読み解く。

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 この記事は前編【『健康な生活は「表情」が決める…! 幸福度が上がる「いいシワ」の特徴』の続編記事です。

自分の顔と脳内物質


脳がこれほどまでに人間の表情を重視する理由は、人類の進化の過程にもある。脳は他人を見たときに人物の「特定」をおこなう。目の前の人物がどこの誰なのか、味方なのか敵なのか、顔から判断するのだ。

 「人間がここまで巨大で複雑な社会集団をつくれたのは、多数の人物を特定できるからです。イギリスの研究グループの発表によれば、人間は約5000人もの顔を覚えられるそうです。

 もし脳が100~200人程度の数の顔しか覚えられなかったら、現在のような社会的ネットワークは広げられません」

表情から心の状態を推測する

「特定」とともにもう一つ、顔の重要な役割がある。それが「心の状態を推定すること」だ。

 私たちが人と会話をしているときに、脳は無意識に相手の心の内を知ろうと働いている。

 「相手の表情や目の動きから、この人が何を考えているのか、どういう感情なのか、何に関心を持っているのかを察知しようとしています。『目は口ほどにものを言う』という言葉がありますが、これは脳科学的にも当てはまる。脳は、顔のなかでも目の動きを重視しているのです」

 脳はできるだけ相手の顔の動きから、その”心のシグナル”を読み解き、心理状態を知ろうとする。

 「相手のふるまいや、顔の変化から情報を読みとるには脳のエネルギーをたくさん使います。ただし、これらは無意識のうちにおこなわれていて、脳科学の世界では『デフォルト・モード・ネットワーク』と呼ばれています。この活動は脳全体が消費するエネルギーの実に8割も使っており、脳内では非常に重要な役割を持つことがわかります」

 この働きは記憶の中枢である海馬とも密接につながっていて、過去のできごとを思い出したり、未来のことを想像したりするときに活発になる。たとえば、アルツハイマー型認知症では、デフォルト・モード・ネットワークを構成する脳の領域が萎縮してしまっている。


自分の表情は特に脳を刺激する


ここまで他人の表情を主に見てきたが、ひるがえって自分の表情はどうだろうか。

 人間関係をよくするうえでは、もちろん自分自身の顔も重要な要素になるが、脳は自分の顔を特別なものとして認識している。卒業アルバムの集合写真のなかから、自分の顔をすぐに見つけられた経験はないだろうか。これは、無意識のうちに、自身の顔を優先しているからだ。

 「自分の顔を見ると、脳の腹側被蓋野と呼ばれる、ドーパミンを分泌するエリアが強く活動します。つまり、脳は自分の顔を見ただけで、報酬を与えられたような状態になるんです。それだけではなく、自分の顔に化粧などの加工を加えたときには、側坐核と呼ばれる領域も強く活動することがわかりました。自分の顔を見て、さらに加工をすると、より多くのドーパミンが出る。若い女性が、化粧や美加工、整形に過度なまでに取り憑かれてしまうのは、このメカニズムに原因があります」

いつも笑顔でいよう


さらに、自分の顔には加工を強めにしたほうが魅力的と感じるのに、他人の顔にはそこまで強い加工をしないほうが魅力的と感じていることが中野氏の研究で判明した。

 「自分の顔と他人の顔では、どのくらい加工をしたときがもっとも魅力的に見えるのかを実験しました。その結果、図のように加工レベル3程度がもっとも魅力的で、それ以上加工が進むとかえって魅力が下がっていくことがわかりました。過度な加工は他人からの印象を悪化させかねず、人間関係においてもマイナスになります」

 加工などに頼ることなく自分の顔をいま一度見つめて、表情を意識的に変えてみてはどうだろうか。そのためには、まずは自然と笑顔でいようと心がけることが大切だ。

 「つらいときに無理に笑顔をつくる必要はありませんが、ちょっとうれしいことや、幸せなことがあったときに笑顔になるのがポイントです。散歩中にご近所さんと挨拶するときも楽しく話をする。

 笑顔の人と一緒にいると、相手にも笑顔が伝染しますから、家庭内でも楽しく会話をするのが大事です。くれぐれも眉間にシワを寄せないように注意してください。仲のいい夫婦の顔が似てくるのは、お互いに笑い合っているからなんです。

 こうして、人と会話することで、脳が相手の心の内を探ろうと、デフォルト・モード・ネットワークや海馬が活性化します。人とのコミュニケーションほど、脳を活性化させ、ボケを防止するのによい方法はありません。むしろ脳を使わないと、筋肉と同じでどんどん衰えていきます。

 なるべくいろいろな人と接して、相手の顔をよく見てコミュニケーションをしてください。笑う機会をたくさん持っている人は元気でいつまでも活発です」

 人と会話する際は、しっかり相手の目を見ることも忘れずに。いつも楽しい気持ちでいることで、皆を幸せにすることができるはずだ。

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