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脳科学者 澤口俊之氏による脳科学情報

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死亡率が5.6倍も上昇!? 知っておかないと怖い、「睡眠不足」が招く心と体への影響


1/25(木) 11:41配信


私たちの日常はストレスを感じることばかり。家、職場、など場所を問わず、いつでもストレスにさらされています。けれど、ストレスを本当に『ゼロ』にしてしまうと、成長する機会を逃してしまうことも。
そこで今回は、精神科医・樺沢紫苑さんの著書『ストレスフリー超大全』から、誰しもが悪いストレスを感じやすいテーマを深掘りし、「科学的なファクト」と「今すぐできるToDo」をご紹介します。
ファクトをつかみ、ToDoを知れば、悩みの9割は解決するとのこと。あとは行動するのみ!

ウソみたいだけど、本当に眠くなる「疲れない眠り方」5選

「国民健康・栄養調査」(平成30年)によると、睡眠時間が6時間未満の人の割合は男性36.1%・女性39.6%。年代別では、30代男性と50代女性がそれぞれ50.0%、54.1%と最も眠れていませんでした。健康的な睡眠時間といえる7時間以上の睡眠は、男性は29.5%、女性は25.7%にとどまりました。働き盛りの年代の2~3人に1人は、睡眠不足なのです。

【ファクト①】睡眠不足のデメリット
睡眠不足が健康に悪いというのは知っていても、本当の睡眠不足の恐ろしさを多くの人は知りません。睡眠不足のデメリットは、大きくまとめると3つあります。

(1)病気になる(寿命が縮む)
睡眠不足による病気のリスクを、たくさんの研究が示しています。睡眠6時間以下の人は、そうでない人と比べて、がんが6倍、脳卒中が4倍、心筋梗塞が3倍、高血圧が2倍、糖尿病が3倍、風邪が5倍のリスクです。死亡率が5.6倍も上がるという研究もあります。
健康に悪い生活習慣は「喫煙」が一般常識ですが、「喫煙よりも睡眠不足のほうが健康に悪い」と主張する研究者も多くいます。
若い頃は大丈夫と思っていても、そのときの睡眠不足が、10~20年してから「生活習慣病」としてあらわれてきます。

(2)仕事のパフォーマンスが下がる
睡眠不足の人は気づいていませんが、睡眠を削ると脳のパフォーマンスは劇的に下がります。6時間睡眠を1日間続けると丸2日徹夜したのと同程度の認知機能になります。つまり、毎日6時間睡眠を続けている人は、「毎日徹夜明けで仕事をしている状態」で仕事をしているということです。
睡眠を削ると、集中力、注意力、判断力、実行機能、即時記憶、作業記憶、数量的能力、数学能力、論理的推論能力、気分、感情など、ほとんどすべての脳機能が低下することが明らかになっています。睡眠不足の人は、本来持つ能力の3~5割減くらいの能力で、毎日仕事をしているのです。

健康に良いことはだいたい嫌われるものだが、人が唯一好むものがある。それは、心地よい夜の眠りだ。
― エドガー・ワトソン・ハウ(アメリカの小説家)

(3)太りやすくなる
「睡眠を削ると太る」というリスクもあります。ダイエットを失敗する人が多いのは、睡眠不足の状態でダイエットをしているからです。
睡眠時間と肥満についての研究では、睡眠時間5~6時間で1.2倍、4~5時間で1.5倍、4時間以下では1.7倍も太りやすくなるそうです。
「睡眠不足の人は、1日385キロカロリー余計に摂取している」というデータもあります。睡眠不足の人は、猛烈に食欲がアップします。
睡眠不足によって、食欲増進ホルモンのグレリンの分泌が増え、食欲抑制ホルモンのレプチンが減り、ショ糖、脂肪、ジャンクフードの摂取欲求が増えます。食欲が増え、甘い物や油っぽいものを食べたくなるのです。
睡眠不足になると、体は「危険性」を感じて、必死でエネルギーを蓄えようとするのです。痩せたければ、「ダイエット」の前に「睡眠」です。

【ファクト②】必要な睡眠時間は何時間なのか


さまざまな研究とデータがあるのですが、必要な睡眠時間は、質のいい睡眠を「7時間以上」というのがひとつの答えです。
カリフォルニア大学の睡眠時間と死亡率を調べた研究によると、睡眠時間「6時間半~7時間半」の人が、最も長生きをしています。それより睡眠時間が短くなると、死亡率が高まります。睡眠時間と死亡率の関係は、V字形となります。

厚労省の調査では、40代の約半数が睡眠6時間未満で、5人に1人が睡眠に関する悩みを抱え、20人に1人が睡眠薬を服用しているのが現実です。
多くの日本人にとって、睡眠は深刻な問題です。7時間以上の睡眠を確保しましょう。


【ToDo①】睡眠ファーストで1週間を過ごしてみる
睡眠不足の自覚がある人は、「睡眠時間を1時間だけ増やすこと」からはじめましょう。「1週間だけ」でいいので、いつもより1時間早く寝て、1時間睡眠を増やしてみる。スマホ、テレビ、ゲームなどの余暇時間を削ったり、掃除や洗濯などの家事を少々サボってでも、睡眠時間を増やします。

たった1時間増やすだけで脳の機能は著しく改善します。仕事のパフォーマンスは上がり、生産性は上がります。仕事が早く切り上げられるようになれば、そこでさらに睡眠時間が確保しやすくなるでしょう。


【ファクト③】睡眠は「量」か「質」か?
睡眠で重要なのは、「量」と「質」のどちらでしょうか。結論から言うと、「両方」です。睡眠で重要なのは質ですが、最低6時間は眠るのがベストと言われていて、結局のところ両方なのです。ただし7~8時間の睡眠をとっていても、睡眠の質が悪ければ意味がありません。

睡眠の質は、朝、目覚めたときの気分でわかります。睡眠の質が高い人は、目覚めがスッキリとして、気分は清々しく、前日の体の疲れも回復し、「今日も1日頑張ろう」と意欲に満ちあふれています。アラームなしで自然に目が覚めるのも、いい睡眠の特徴です。

一方、質の悪い人は、朝起きるのがつらい人です。「もっと寝ていたい」と感じ、体の疲れがとれず、「仕事に行きたくない」と思ってしまいます。

アラームを何度も延長して、ギリギリまで寝ようとする人は要注意です。
また、寝つきが悪かったり、夜中に何度も目が覚めたり、日中に強い眠気がある人も、睡眠の質が悪い徴候です。
スマホの「睡眠アプリ」やスマートウォッチなどを活用すると、睡眠の状態をグラフで見ることができます。心配な人はチェックしましょう。


【ToDo②】睡眠に悪い習慣をやめる
まず、あなたがすべきなのは、睡眠に悪い影響をおよぼす生活習慣を徹底して排除することです。「寝る前の2時間」の使い方を見直すのです。睡眠の質を上げるには、寝る前の脳を「リラックス」させることが必須です。脳が「興奮」した状態で布団に入ることをやめなくてはいけません。以下、睡眠に悪い生活習慣を紹介しましょう。

(1)ブルーライトを浴びない
「ブルーライト」とは、スマホやPC、蛍光灯などから発される光のことです。ブルーライトは青空の波長、つまり昼に出る光の波長です。一方で、従来型の電球の赤っぽい光は、「夕焼け」の波長です。
ブルーライトを浴びると、脳が「今は昼だ」と誤認し、睡眠物質のメラトニンの分泌を抑制します。一方で、赤っぽい光を浴びると、「これから夜になる」と脳が認識し、メラトニンが分泌され、全身の活動に徐々にブレーキがかかり、睡眠の準備へと向かうのです。

(2)飲酒・食事をやめる
「寝酒は眠りにいい」と思っている人がいますが、完全に間違いです。飲酒は、寝つくまでの時間を若干短縮しますが、トータルの睡眠時間も短縮させてしまいます。飲み会の次の日の朝、早く目が覚める経験をしたことがあると思います。「睡眠時間の短縮」と「早朝覚醒」が、アルコールの薬理効果なのです。
飲酒は、睡眠に極めて悪影響をおよぼします。アルコール依存症の患者さんが、睡眠障害を併発することが多いのはそのためです。

私の患者さんで、睡眠薬10錠以上を飲んで不眠症を数年間かけて治療した人がいました。その人は、入院して1週間禁酒しただけで、睡眠薬なしで眠れるまでに改善しました。飲酒の習慣のある人で「眠りが悪い」という人は、一度、禁酒をしてみるべきです。

また、寝る前2時間以内の「食事」は、睡眠の質を低下させます。食事により、成長ホルモンが出なくなるのが原因です。成長ホルモンは、「血糖値を上げる」効果があるため、血糖値が高い状態では、分泌されなくなります。いい睡眠には成長ホルモンの分泌が重要です。成長ホルモンが分泌されないと、疲労が回復されません。

(3)興奮系の娯楽を避ける
興奮系の娯楽とは、ゲーム、映画、ドラマ、漫画、小説などです。ゲームをしていて深夜になっても眠気がこないのは、興奮物質アドレナリンが出ているからです。アドレナリンが分泌されると、交感神経優位な状態となり、心拍数や血圧も上がり「興奮」状態となります。
睡眠のためには、副交感神経優位の「リラックス」状態が必須なので、「興奮系娯楽」は極めて睡眠に悪いと言えます。心臓がドキドキして手に汗握るようなコンテンツは、寝る前は避けましょう。


さらに学びたい人は
『スタンフォード式 最高の睡眠』(西野精治著、サンマーク出版) 難易度★
世界最高峰の睡眠研究機関ともいわれるスタンフォード大学。その西野精治教授による「睡眠本」ブームの元祖とも言うべき1冊。「睡眠負債」という言葉は、本書から広がったと言って過言ではないでしょう。ぐっすりと深い睡眠をとるために最も重要なのは「体温」。そのために「寝る90分前に入浴を済ませること」が推奨されています。科学的根拠と「ToDo」がバランスよく組み込まれていて、読んですぐに実践できます。

▼著者プロフィール▼
樺沢紫苑(かばさわ・しおん)
精神科医、作家。1965年、札幌生まれ。1991年、札幌医科大学医学部卒。2004年からシカゴのイリノイ大学に3年間留学。帰国後、樺沢心理学研究所を設立。「情報発信を通してメンタル疾患、自殺を予防する」をビジョンとし、YouTubeチャンネル「樺沢紫苑の樺チャンネル」やメルマガで累計100万人以上に精神医学や心理学、脳科学の知識・情報をわかりやすく伝える、「日本一アウトプットする精神科医」として活動している。

今回紹介したのはこちら!
『精神科医が教える ストレスフリー超大全 ―― 人生のあらゆる「悩み・不安・疲れ」をなくすためのリスト』
樺沢 紫苑 著/ダイヤモンド社
 人と会話する際は、しっかり相手の目を見ることも忘れずに。いつも楽しい気持ちでいることで、皆を幸せにすることができるはずだ。

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