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脳科学者  澤口俊之氏による脳科 学情報

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認知症の早期発見・治療の鍵 ADLの低下に注意

産経新聞 5月29日(火)21時31分配信

アルツハイマー型認知症の症状として、物忘れが激しくなる「記憶障害」はよく知られている。だが、食事や入浴などのADL(日常生活動作)が低下することは、記憶障害ほど知られていない。進行すると、周囲の見守りや手助けを必要とすることが増え、介護者の負担増にもつながる。認知症の早期発見・早期治療が症状の改善や進行を遅らせる鍵となる。(豊田真由美)

 ◆金銭管理に異変

 川崎市のパート従業員、吉井百合さん(48)=仮名=は、東京都内に住む認知症の母、佐伯美智代さん(78)=同=の介護をしている。美智代さんは夫の義昭さん(77)=同=と2人暮らし。昨年7月、以前から通院していた心療内科で「認知症の気(け)がある」と言われた。

 義昭さんらが最初に認知症を疑ったのは昨年5月頃。美智代さんが親類からもらった商品券を自分で神棚に置き、翌日にはすっかり忘れていた。吉井さんは「母は金銭管理がしっかりできる人だったのに、父に教えられても商品券を神棚に置いたことを思い出せなかった。『おかしいな』と思った」と振り返る。

 他にも、義昭さんにお金を立て替えてもらったことを忘れていた▽服薬を欠かさなかったのに薬を飲み忘れるようになった▽トイレの水の流し方が分からず、なかなか戻ってこなかった▽風呂場で温水と冷水の蛇口の区別がつかず、冷水のシャワーを浴びてしまった-など、これまで日常的にしていたことができなかったことがあった。

 ◆服薬中断で悪化も

 認知症患者が決められた薬をきちんと服用できないことは介護者の悩みの一つとなっている。製薬企業「ノバルティスファーマ」(東京都港区)が3月、軽度~中等度のアルツハイマー型認知症の家族を在宅で介護する男女300人に行った調査では、介護者にとって最も大きなストレスとなっているADL低下の例は、「単純な会話や指示が理解できない」(32・3%)に次いで、「正しい時間に薬を飲めない、正しい用法・用量で薬を飲めない」(17・1%)だった。

 くどうちあき脳神経外科クリニック(大田区)の工藤千秋院長は「在宅診療では『薬を飲んでいればもっと良くなっているはずなのに、おかしい』と思っていると、押し入れやベッドの中から薬が出てきたり、ゴミ箱に飲んでいない薬が捨てられていたりすることがある」と明かす。

 「認知症の治療は継続性が重要。いったん中断するとガクッと悪くなる。しかし、薬を飲むまで見守る必要が出てくると、介護者が疲弊してしまう。在宅介護を続けるポイントは、薬の量を減らすことと介護者を疲弊させないことだ」(工藤院長)

 認知症の進行を抑制する薬にはカプセルのほか、背中などに貼るパッチ薬があり、美智代さんも処方されているという。工藤院長は「パッチ剤を取り入れることは、介護者が患者さんを見守る時間を減らすメリットもある」と話している。

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