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脳科学者 澤口俊之氏による脳科学情報

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ヒトなどの時間知覚に重要な脳部位は「小脳歯状核」 - 北大が解明


マイナビニュース 9月25日(水)16時41分配信


北海道大学(北大)は9月25日、生物の時間知覚を調べるため、一定間隔で繰り返される視聴覚刺激の不意の欠落を検出するようにサルを訓練して調べたところ、「小脳歯状核」の二ューロンが刺激間隔によって感覚応答を変化させることが見出され、また同部に薬物を注入することで、この時間情報が次の刺激のタイミング予測に使われていることも明らかとなったと発表した。

成果は、北大大学院 医学研究科・医学部医学科 神経生理学分野の大前彰吾博士研究員(当時)、同・大学院1年の植松明子氏、同・田中真樹 教授らの研究チームによるもの。研究の詳細な内容は、米国東部時間9月25日付けで「The Journal of Neuroscience」に掲載された。

時間の知覚は日常生活に不可欠だが、いわゆる五感の中に時間感覚というものは存在しない。そこで、時間を感じるためには、より高次の感覚情報として脳内で時間情報を作りだす必要がある。その時間知覚に関わると考えられている脳部位の1つが小脳だ。

小脳は運動制御に重要な役割を果たすが、運動を伴わないリズム感覚や時間の長さの判断などにも関与していることが知られている。しかし、そのメカニズムは不明で、そもそも小脳のどのような神経活動によって時間情報が担われているのかは明らかになっていない。

そこで今回の研究では、視聴覚刺激が出るタイミングを予測するようにサルを訓練し、霊長類で発達した小脳半球の出力部である小脳歯状核のニューロン活動を調査。その結果、時間の長さの新たな神経表象が発見されたというわけだ。

小脳について触れておくと、「小脳皮質」と小脳核で構成されており、小脳皮質で処理された情報は小脳核を経て外部に伝えられ仕組みだ。よって、小脳核の神経活動は小脳での情報処理の最終結果を反映している。今回調べられた小脳内の1部位である歯状核は、ほかの動物に比べてサルやヒトなどの霊長類では格段に大きくなっており、その出力は「視床」と呼ばれる脳部位を介して大脳皮質に送られる仕組みだ(画像)。

今回の研究では、サルに対して「欠落オドボール課題」が実施された。オドボール課題はヒトの心理実験でよく使われており、同じ刺激を一定間隔で繰り返し提示して、その色や形、音などを不意に変化させた時の反応を調べるというものだ。今回の欠落課題では、刺激が急に抜けるので、これを検出させる。今回の研究では、100~600ミリ秒の間隔で視聴覚刺激を提示し、その変化を眼球運動で報告するようにサルを訓練している。ちなみに刺激が「ない」ことを検出するためには、刺激間隔を学習し、次の刺激がいつ現れるのか正確に予測しておく必要があるのはいうまでもない。

課題遂行中であるサルの小脳核における単一ニューロンの活動が調べられ、その結果、刺激が繰り返されるにつれて神経応答が増大し(画像)、その大きさは刺激の提示間隔に比例していることが確認された。また、記録部位に微量の薬物を投与して神経活動を抑えたところ、刺激欠落の検出が遅れたのである。これらのことから、小脳核ニューロンは直前の視聴覚刺激からの経過時間に応じて反応性を変化させ、その情報は次の刺激のタイミングを予測することに用いられることが明らかとなったというわけだ。

画像の見方だが、右下の赤色のトレースは、小脳核における単一ニューロンの活動の時間経過を表したもの。縦の点線は400ミリ秒ごとに提示した刺激のタイミングを示している。小脳の信号は視床を介して大脳に送られ、大脳の信号はまた小脳に送り返される仕組みだ。

運動を伴わない高次脳機能への小脳の関与が示唆されているが、今回の研究で明らかとなったタイミング予測の神経機構は、そのメカニズムの一端を細胞レベルで初めて解明したものである。今回の成果は小脳疾患の病態理解に役立つと共に、将来的には小脳疾患の診断法や治療の評価法の開発につながるものと期待されるという。また、最近研究が進んできた時間知覚の脳内機構を解明する糸口となり、ヒトの心の時間を脳科学的に理解することに貢献できると考えられるとしている。

(デイビー日高)

参照記事 → http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130925-00000109-mycomj-sci



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